矯正

大人の歯がそろう前の矯正治療 受け口 反対咬合
反対咬合に対する治療
上下の歯の咬み合わせは、上の歯が下の歯より前(外側)にあるのが正常です。前後逆になっている状態は、受け口、反対咬合といって、矯正治療の対象となります。 その場合の治療について、説明致します。

目次

01.治療の目的と方法

こどもの歯の歯並びの時期に反対咬合になっている場合、大人の歯に生え変わると同時に正常な咬み合わせに自然に治ることがあります。自然に治らなくても、前歯が大人の歯に生え変わったころまで待ってから矯正治療を始めても改善することもあるので、この時期に矯正治療を行うかどうか、慎重に判断することが重要です。
ご家族に反対咬合の方がいらっしゃる場合や、舌の位置が低く、下顎を前に押してしまう癖がある場合、早期に治療を始めることを強く希望されている場合は、治療を開始することもあります。ムーシールドという、舌を上方に挙げる効果のあるマウスピースのような装置を使うことが多いです。

前歯が大人の歯に生え変わった時期に反対咬合になっている場合、骨格の成長に悪い影響を与えることがあるので、矯正治療の適応となることが多いです。
この時期は主に上顎が成長する時期で、その後、背が伸びるころ(男の子なら14〜17才、女の子なら12~15才ころ)に下顎の成長のピークがあります。反対咬合の影響で、上顎が成長する時期に下の歯に上顎の成長が妨げられ、その後の下顎の成長によって、骨格的な下顎前突になってしまうことが懸念されます。
そのため、この時期に矯正治療によって、前歯の咬み合わせを正常に改善することは、それなりに意義のある治療と言えます。
※下顎の成長力によっては、治療の効果が乏しい場合もあります。

矯正の検査で、骨格的な問題があるのか、歯の位置や角度の問題なのかを診断します。骨格的な問題が大きい場合は、上顎前方牽引装置を用いて、上顎の前方成長を促すことが多いです。この治療は上顎の成長の余力が残っているうちに行わないと効果が乏しく、男の子なら11才くらいまで、女の子なら10才くらいまでが目安と言われております。
歯の位置や角度の問題の場合は、舌側弧線装置(リンガルアーチ)やご本人が取り外し可能なプレートタイプの装置を用いることが多いです。

プレートによる治療

主訴 前歯のかみ合わせが逆になっている
診断名 前歯部反対咬合
年齢 7歳
治療に用いた主な装置 関口プレート
抜歯部位 なし
治療期間 12ヶ月
治療費 41万8,000円(税込)
リスク、副作用 むし歯や歯周病、歯根吸収、治療後の後戻りの可能性があります

大人の歯がそろったころに反対咬合になっている場合で、下顎の成長が残っていると予想される場合は、チンキャップという下顎の成長を抑える装置を使う場合もあります。
しかし、この治療は、装置を使用している間は成長が抑えられていても、成長が終了したと判断して装置の使用を止めると下顎が成長してしまう現象(Caught-up growth)が見られ、結局、治療効果が乏しいことが多いとの報告があります。

また、上顎の成長が終了したあと、下顎が成長する時期にずーっと装置を使用するとなると、治療期間が4〜5年以上におよび、負担が大きいとも言われております。この時期には矯正治療を行わず、成長終了後に骨格を治す外科手術を併用した外科的矯正治療を選択する方が、短期間で治療が済むので楽だと考える方も多いです。

この治療は、下顎の成長方向を前方から下方へ変える効果があるとも言われています。そのため、反対咬合で、前歯の咬み合わせが深い(前歯の上下的な重なりが大きい)場合に選択する可能性があります。
一方、前歯の咬み合わせが深くない場合に使用すると、前歯が咬めない状態(開咬)を作り出してしまい、その後の矯正治療が難しくなることがあります。場合によっては、外科的矯正治療の適応となります。チンキャップを使用しなければ、骨格の前後的な問題に対して、下顎を後方に移動させる手術だけで済んだ可能性があった場合でも、チンキャップを使用したことで、骨格の上下的な問題を生み出し、上顎も手術で移動させる必要が生じる場合があり、手術の侵襲が大きくなってしまいます。

このような理由から、チンキャップを使用するかどうかは、慎重に判断する必要があります。

02.治療の流れ

  • 初診
    お口の中全体を保険適用範囲内で診察し、歯並びや咬み合わせ以外の問題が無いか確認します。医療費の自己負担割合が3割の場合、約3,500円かかります。検査について詳しくはこちら
  • 歯科矯正相談
    矯正担当医が診察し、歯並びや咬み合わせでお困りのことを確認。予想される治療の概要を説明します。
  • 歯科矯正検査
    お口の中の写真、お顔の写真、CTを含むレントゲン写真の撮影、口腔内スキャナを使った型取りを行います。
  • 分析
    検査結果をコンピュータ解析し、問題点の抽出、治療目標、治療方法の検討を行います。
  • 歯科矯正診断
    分析の結果を説明し、患者様ひとりひとりに合わせた治療計画を提案致します。
  • 動的治療開始
    治療計画に同意いただければ、治療が始まります。
  • 保定 メンテナンス
    ・保定期間中はおよそ3ヶ月毎に保定装置のチェックを行います。 ・原則、動的治療後2年間は保定を行うことを推奨しております。 ・保定期間中、保定終了後も、歯科衛生士による3ヶ月毎のメンテナンスを推奨しております。

03.治療のリスク

むし歯・歯周病
矯正装置を装着することで、歯磨きが難しくなり、むし歯や歯周病になる可能性があります。むし歯や歯周病になりやすい方や、上手く歯を磨けていない方は、矯正治療とは別に歯科衛生士によるメンテナンスを受けることを推奨しています。
歯ぐきが下がる
歯を動かすことで、歯の周囲の歯肉(歯ぐき)が下がって、歯の根が露出したり、歯と歯の間の隙間が目立つようになったりする場合があります。なるべく、そのようなことが起こらないように治療計画を立案しますが、もともと歯のでこぼこが著しい場合などは起きやすいです。見た目が気になる場合は歯周病専門医(歯肉を扱うスペシャリスト)と連携し、改善を図ることも可能です。
歯の根が短くなる
歯を動かすと歯の根(歯根)の一部が吸収されます。多くの場合は、問題となることはありませんが、もともと歯根が短い方や、通常よりも歯根が吸収されやすい方では問題となる場合があります。その際は、治療目標の変更を考慮する必要もあります。
顎の関節の症状
歯を動かしている間、一時的に咬み合わせが不安定になることがあります。それに伴い、顎の関節に負担がかかり、口を開けると音が鳴る、痛む、口が開けにくいといった顎関節症の症状が起こる場合があります。多くの場合は、治療が進み、咬み合わせが安定すると改善しますが、顎関節症の治療を要する場合もあります。
歯が動きにくい・動かない
歯の動きやすさには個人差があります。また、非常に稀ですが骨性癒着といって、歯が周りの骨と固着して動かない場合もあります。これらは治療前の検査で予測することが難しく、“動かしてみて分かる”ことも多いです。その際は、治療期間の延長や、治療目標の変更を考慮する必要もあります。

04.費用

1.歯科矯正相談料 初回 無料
2回目以降 ¥3,300(税込)
2.歯科矯正検査・分析・診断料 ¥22,000(税込)
3.歯科矯正施術料 ⅰ 大人の歯がそろう前の矯正 ¥418,000(税込)
ⅱ 大人の歯の矯正
(歯科矯正用アンカースクリュー料保定装置料含む)
表側に装置をつける矯正治療
¥847,000(税込)
裏側に装置をつける矯正治療
¥1,452,000(税込)
上の歯は裏側、下の歯は表側に装置をつける矯正治療
¥1,173,700(税込)
マウスピース矯正
¥1,016,400(税込)
マウスピース矯正(軽度な症例)
¥665,500(税込)
ⅲ 部分的な矯正 前歯だけの部分的な矯正
(部分的なマウスピース矯正)
片顎(上の歯だけまたは下の歯だけ)
¥462,000(税込)
その他の部分的な矯正
¥55,000(税込)+¥28,600(税込)
×矯正装置を装着する歯の本数
裏側に装置をつける場合の加算
¥297,000(税込)
4. 保定装置料 ¥66,000(税込)
5. 処置・調整・観察料 ⅰ マウスピース矯正以外の動的治療中 1回 ¥5,500(税込)
ⅱ マウスピース矯正の動的治療中、成長観察、保定期間中 1回 ¥3,300(税込)

*価格はすべて税込です
*大人の歯がそろう前の矯正から大人の歯の矯正(部分的な矯正を除く)に移行した場合、大人の歯の矯正の施術料から大人の歯がそろう前の矯正の施術料を差し引きます。

05.付加的な治療オプションと費用

i 歯科矯正用アンカースクリュー
歯を効率的に動かすために顎の骨に埋める小さいインプラントです。使用することが望ましいと 考えられた場合に提案致します。大人の矯正治療の場合は、この費用は歯科矯正施術料に 含まれます。
1本 ¥27,500(税込)
ii 埋伏歯に対する開窓牽引手術
稀に大人の歯が様々な理由で埋まったままなかなか生えてこない場合があります。その際は、 部分麻酔による手術で、埋まっている歯に矯正装置を付け、矯正によって引っ張り出す(牽引 する)こともあります。
¥33,000(税込)
iii ハイブリッド矯正
(表側または裏側に装置をつける矯正治療とマウスピース矯正を組み合わせた矯正治療) マウスピース矯正が苦手とする歯の動かし方を、表側または裏側に装置をつける矯正治療で行って から、マウスピース矯正を行う治療です。それぞれの治療法の長所を活かした治療法です。
¥924,000(税込)
+部分的な矯正に準じた費用
*価格はすべて税込です

06.三軒茶屋マルオ歯科の矯正治療の特徴

  • 日本矯正歯科学会認定医が相談から診断、プランニング、治療、
    定期チェックまで、すべて担当します。
    規模の大きい矯正歯科専門医院の場合、診療業務の一部を矯正歯科医ではないスタッフに任せることも多いようですが、当院では、矯正治療に関わることは、すべて日本矯正歯科学会認定医が行います。治療開始前でも治療中でも、不安なこと、疑問な点があれば、いつでも、日本矯正歯科学会認定医が対応致します。
  • 不必要な矯正治療はお勧めしません。
    特に、お子さまの矯正治療はとにかく早い時期から始める方が良いと勧めるクリニックも少なくないようですが、必ずしもそうではありません。早く始めすぎると治療期間が無駄に長くなることもあります。治療内容についても、目的や目標がはっきりしない「とりあえず拡大しましょう」「とりあえずマウスピースを使ってください」といった治療を提供するクリニックもあるようです。結果に満足頂ければ良いですが、期待と違った結果になるとトラブルになることも少なくないです。
    当院では、治療時期・内容と目的について、それぞれメリット・デメリットを、科学的根拠(エビデンス)と経験に基づいて説明し、納得して頂いた上で治療を進めていきます。
  • 最新の歯科用CTを導入しているため、
    最低限の被曝でレントゲン検査を受けていただけます。
    治療前や治療効果判定のための検査に、低線量で撮影できる歯科用コーンビームCTを導入しています。従来、検査に利用されてきた頭部エックス線規格写真は、側方向きと前後方向の2回の撮影での被曝量が約10.7 µSvであり、一方、当院で導入しているCTの被曝量は約11 µSv(低被曝モードの場合)で、従来のエックス線検査で得られる情報以上の3次元情報が得られます。成長期のお子様でも、被曝のリスクを抑え、より有益な検査が可能です。
  • 口腔内スキャナを取り入れることで、
    不快な型取りをなくすことが可能となりました。
    口腔内スキャナの中でも最新かつ最も精度が高いと言われる3Shape社製(デンマーク)のTRIOS3を導入し、できるだけ患者さんの不快感を軽減した医療を提供しています。
    従来の方法では、検査・診断のための型取りと装置を作るための型取りを別に行う必要がありましたが、口腔内スキャナによって、一度の型取りで済むこともあります。
  • 咬み合わせ・セラミック専門医と歯科衛生士、矯正歯科医がチームを組んで
    治療を担当するので、当院のみで治療が完結します。
    矯正治療中には、むし歯の予防、歯周病の管理、便宜的な抜歯など、矯正治療以外の歯科治療が必要になります。また、歯を失ってしまって、インプラント治療や入れ歯などの治療を行う前に、歯並びを整えたほうが良い場合も多いです。そのような場合、治療を担当する歯科医師や歯科衛生士間での情報の共有が重要です。
    当院では、専門医が連携しインターディシプリナリーアプローチを提供しているため、ほとんどの場合、当院のみで治療が完結し、スムーズな医療の提供を可能にしています。